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クロールピクリン嚥下症例
前田 安朗
1,2
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
2江沼病院耳鼻咽喉科
pp.717-719
発行日 1957年9月20日
Published Date 1957/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201853
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緒言
最近農家に於て,害虫防除剤として使用される農業用薬品の種類は多く,これ等のなかには,毒物,劇薬も多く含まれている。それ故これ等毒物,劇薬の取扱方によつては,劇烈な中毒症状を呈し,時には人命さえ奮われることがあるといわれている。このため,これ等の薬品が,自他殺の目的に使用される事件も多くなつてきた。昭和30年11月末に,実兄一家4名を農薬で殺害し,其の後,自らも妻をみちづれに,農薬クロールピクリンにて心中を計つたが,未遂に終り,病院に収容され,夫は死亡したが,妻は幸いにも一命をとりとめた事件があつた。その生存者について経過を観察し得たので,茲に報告する。
Maeda reports a case of traumatic stricture of esophagus caused by swallowing of 5 cc of chlor-picrin, an insecticide commonly used on the farm, stricture which occurred in the lower half of the esophagus was finally cured by means of effecting repeated dilatation for 18 sittings.
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