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メニエール氏病に対するACTH及びコーチゾンの使用経験
山田 喜郞
1
,
山田 健一
1
,
萩原 輝喜
1
1東京警察病院耳鼻咽喉科
pp.235-241
発行日 1957年4月20日
Published Date 1957/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201763
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Ⅰ.緒言
メニエール氏病については1861年Menièreの発表以来幾多の報告があり,就中その発生機転については,周知の如く諸種の臨床的研究は勿論,剖見的所見による病理学的研究,更に実験的研究からいろいろの説明が加えられているが,今日に於ても尚決定的な解釈を得るまでには立ち至つていない。併し乍ら大多数の研究者は本症の発生機点として一応内耳内膜様迷路の水腫様変化,即ち迷路水腫に起因すると考え,これと密接な関連を有するものとして,迷路血管に於ける何等かの変化,又は自律神経機能異常等を考えている。而してその要素としては,1.血管神経性(Vasoneurogic),或は血管運動性(Vasomotoric)の変化,2.自律神経乃至内分泌系機能失調,3.水分及び電解質代謝異常,4.内的及外的中毒症,5.アレルギー性変化等の考え方があげられている。
ところが1949年Henchがレウマチス性疾患に対し,コーチゾンが卓効を有することを発表して以来,これ等ホルモンは各科各領域に於ける疾患に用いられる様になり,ある疾患に対しては極めて輝しい成績を拳げている。
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