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特集 めまい―最新のトピックス
メニエール病の治療
Treatment of Ménière's disease
北原 糺
1
Tadashi Kitahara
1
1大阪労災病院耳鼻咽喉科
pp.27-33
発行日 2011年1月20日
Published Date 2011/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101730
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Ⅰ.はじめに
メニエール病はその80~90%が生活指導,薬物治療などで軽快,治癒すると考えられている1)。保存治療と呼ばれるこの段階の治療に,最近では水分大量摂取2)や有酸素運動3)などの新しいアイディアが取り入れられてきている。一方で保存治療を行ったにもかかわらず,めまい発作が止まらず難聴が進行する難治例が存在する。難治例には外科治療という選択肢が呈示される。外科治療の効果判定には,その治療が必要であろうと判断される難治例にあえてその治療をせずに経過観察をする対照群を準備する必要があり,良質なEBMを得るのは困難な場合が多い。実際に難治性メニエール病に対する手術治療の論文は多いが,それらのほとんどは単なる治療成績の報告であり,対照比較試験を行っているものは少ない。難治性メニエール病の手術治療に関する良質なEBMが存在しないことは大きな問題であり,そのためにやむを得ず無効な保存治療を漫然と続けることになれば,高度感音難聴の進行4),さらには両側メニエール病への移行5,6)と,患者のQOLは著しく低下していくことになる。
本項ではメニエール病に対して行われている薬物治療,その他の保存治療を概説するとともに,難治性メニエール病に対して選択される外科治療を紹介する。特に外科治療に関しては,治療成績を示すとともに,それらの問題点および限界についても言及したい。
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