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骨組織に囲まれた,しかも極めて狭い場所を対象としている吾が耳鼻咽喉科領域の手術は,出血と云う事が重犬な関係を有している事は云う迄もない。此の出血に対する処置として各種の止血剤の効果は吾々の関心をひく事は当然であるが,未だ確たる極め手がない状態である。最近中村教授はBayer製マネトール(Manetol)の効果について発表され優秀な止血剤として紹介されている。吾々も昨年11月,九州医学会の席上に於て,菱山等が本剤の効果を述べ,又上野が医学研究(26巻2号,1956年)に他種止血剤との効果を比較し,極めて優秀な成績を収めている事を発表している。マネトールは幼弱屠殺獣の脊髄から抽出した臓器製剤であり,Bolle. W.(1936)その他が負傷部位の血管腔を狭少ならしめるので,血管に収縮刺戟を与えると共に,他方血液凝塊中のフイブリンを著しく増加せしめるから,フイブリンをその構造中に固定し,その為に比較的大きい血管をも容易に閉塞すると発表している。此の当時の本剤は使用時,その乾燥製粉末を蒸溜水に溶解しその都度使用されていたのであるが,最近は極めて精製度が高められ,溶液としてアンプル入りが発売され,静注も許容されるようになつた。
Hishiyama and Ueno sate that Manetol (Bayer) is a potent agent establishing hemostasis in case of hemorrhage that could be used by intravenous administration with a great advantage. No complication is met with in its use. The authors make use of this agent invariably in cases after tonsillectomy; the results have been exellent.
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