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組織学的に興味ある非定型的濾胞性歯牙嚢腫症例—(壁一嚢腫性琺瑯腫)
長岡 梧郞
1
1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.283-286
発行日 1956年4月20日
Published Date 1956/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201545
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古くより歯系腫瘍に関しては数多くの症例報告並びに研究が為され,今日その臨床面においても病理組織学的面においても,全く研究し盡された感あるも,なおその成因に関しては幾多の疑問が残されている。各種歯系腫瘍の合併,或は混在に関する報告は少なく,又濾胞性歯牙嚢腫と琺瑯腫とはその鑑別診断の困難な場合が少くないといわれている。
私は15歳女子の左側上顎に見られた臨床上濾胞性歯牙嚢腫と考えられ,組織学的に見ると壁上皮の大部分が増殖肥厚し,嚢腫性琺瑯腫様像を呈し更に一部に扁平上皮化した部がある埋伏過剰歯を有する上顎骨嚢腫の一例を経験したので,従来の組織像と比較検討し症例追加の一助と致し度い。
Nagaoka reports that a dental cyst, in a girl aged 15, was found to be atypical and follicular in type. A fully developed, unerupted canine tooth was the cause of the cyst formation. Histologically its wall was found to be highly thickened by epithelial hypertrophy.
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