特集 耳鳴と眩暈
第2章 眩暈
重曹注射批判
山本 常市
1
1昭和医科大学
pp.931-936
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201473
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Ⅰ.緒言
長谷川高敏教授は昭和18年5%の重曹水によつて耳石の溶解することを動物実験に於いて成功した。又試験管内に於いても耳石の完全に溶解することを認めたのである。その後この事実を実際的に動揺病に応用してその効あることを認め,又メニエール氏病にも応用して眩暈その他の症状の消失又は軽快することを経験して世に発表したのである。
何故5%重曹水が耳石を溶解するかということに就いては重曹を注射する際血液中に発生する炭酸ガスが耳石の成分たる炭酸カルシウムに作用して,あたかも空気中の炭酸ガスにより大理石の風化作用が起るごとく耳石炭酸カルシウムが溶解するのであると解釈されたのである。
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