特集 耳鳴と眩暈
第2章 眩暈
アレルギー及びストレス学説からみた眩暈
渡辺 勈
1
1東京大学耳鼻咽喉科学教室
pp.854-862
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201464
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まえおき 原因不明の眩暈症例の一部に,アレルギー性の発生機転によるものがあるだろうと云う考えはかなり古くからあつたらしい。実際の症例報告はDuke1)(1923)が最初に行つたが,その以前から多くの医師によって考えられていたに違いない。人によつては血管神経性浮腫とメニエール様眩暈を結びつけたQuincke2)(1893)までさかのぼる。然しRichet及びPortierがアナフイラキシーの最初の報告を行つたのが1902年であり,vonPirquetがアレルギーの概念を発表したのが1906年であるから,これは大体1910年頃からの事であろうと推定される。
このように眩暈とアレルギーとの関係は古いのであるが,今日においても尚この両者の結びつきについてしばしば問題が起るのは,どうしたことだろうか。
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