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気管内麻醉に於ける導入麻醉としてのチオバール使用に就いて
中村 文雄
1
,
原 芳夫
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科教室
pp.334-335
発行日 1955年6月20日
Published Date 1955/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201345
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緒言
1954年10月京都府立医大耳鼻科中村臨床では,耳鼻咽喉科手術に閉鎖循環式気管内麻酔の使用を企図し,以来4ヵ月9例の応用例を得た。これ等は中耳根治手術,蓄膿根治手術の試験的なものから始め,各種腫瘍剔出手術に及び,特に後者に於ては,従来依存していた局処麻酔では到底到達し得なかったであろうと思われる徹底した侵襲を遂行することが,出来るに至つている。
気管内麻酔を行うに当つては,気管内にエーテル,酸素を送る気管カテーテルを挿入する為の導入麻酔を何で行うかが問題となるのであるが,我々は之に第一製藥製チオバールの静脈内注射を行つた。即ち前処置として,5%塩酸コカイン液を咽喉頭に塗布して,軽く粘膜塗布麻酔を施した患者に,2.5%チオバール溶液5〜8ccを肘静脈から注射し,完全な意識消失下に挿管を行つた。
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