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ストレプトマイシン(以下S. M.)が第八神経機能に対し選択的に障碍を及ぼすことは衆知のことであるが,その毒性乃至副作用を減少させる意味で研究が重ねられ,デイヒドロ・ストレプトマイシン(以下D,H-S. M,)の硫酸塩が一番副作用の少いものとして,現在我が国でも専ら使われている。しかし乍ら,その後の経験によれば,成程従来のSMは前庭機能を主に侵す樣であるが,一時的悪心,眩暈等の一般的副作用が少いと云うD. H. S. Mは逆に聽力障碍を主とする毒作用を持つことが明らかになり,S. M. とD. H. S. M. の毒性の強弱は一口に云い盡せぬものがあることがわかつて来た。しかも此のD. H. S. M. に依る難聽は投与中のみならず,その投与終了後にも現われることが報告されている。
こゝに報する4例は,その要旨については既に昭和27年12月,大防地方会第64回例会に於て発表したものがあるが,即ち,私共の外来を訪れた患者の中で「D. H. S. M. 投与による難聽」と思われる者の中,何れもそのD. H. S. M. を終えた後(或は内科乃至小児科の手を放れてから)約1カ月半乃至6ヵ月を経て難聽を覚えた症例である。
NAGAO and KUBOTA report 4 cases of deafness that occurred as a latent complication following administration of dihydrostreptomycin. The period in which symptoms of deafness manifested itself ranged from 6 months to 1 year after the conclusion of the drug therapy. All four patients present similar hearing charts and vestibular function test results. The authors stress the need of extended period of observation that will cover at least a year for patients who undergo this type of therapy.
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