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発声附属管の営む生理的機能は構音と共鳴とに分つ事が出来,胸部或は腹部・口・咽腔・鼻腔その他顏面・頭蓋骨に至る迄皆之に与えるものである。而して原音発声器である咽頭の働きを音色構成の意味で補助するものは口腔の諸器管であり,即ち舌と口蓋である。前者は口喉底にあつて喉頭蓋に連り,縦横に走る筋束の一部は前口蓋弓円を走つて軟口蓋と連続し,後者は口腔の天蓋,即ち鼻咽腔の遮断弁となつて共に音色構成乃至鳴作用により固有の音声を構成しているのである。舌と口蓋との発音構成に対する関係は密接であり,中でも口蓋帆が如何に発音構成上重要なる機能を営むかは舌運動障碍の各音の弁別的発音障碍が口蓋機能不全の際にも見られるところであり,これは口蓋で著明で,特有な音色の変化,例えば鼻音症を呈すは更にることによつても容易に考えられるところである。軟口蓋は以上の如く音色構成における共鳴器としての機能の外,嚥下作用に対する補助機能,更には呼因運動との関係即ち,口呼吸と鼻呼吸との間の軟口蓋の位置の変化等,種々の生理機能を営んでいるのである。
先に余等は原発音声器たる内喉頭筋のE. M. G. から発声機構に対しても筋電図学的一考察を加えてきたのであるが,更に主要なる共鳴器であり,音色構成に大なる役割を演する軟口蓋諸筋よりのE. M. G. の誘導に成功し,動物による基礎実験並びに各種臨床例について種々の実験と検討を加え,共鳴器としての機能の外,前述の種々の生理作用に対して軟口蓋を形成する各筋肉が,どの樣に緊張し又筋肉間に如何なる相互関係が存在するか,更に各筋と支配神経との関係などについて一定の知見を得つゝある。こゝに実験方法の大要と一部臨床例を附加し,軟口蓋筋々電図の臨床への応用の可能性について述べる。
NAKAMURA and YAMAWAKI devise, for the purpose of obtaining electromyography on the muscles of soft palate, an electrode which is needle in form to facillitate the procedure. With electrodes used ordinarily for muscles elswhere application to this particular area is met with difficulty. Electromyography of the soft palate in man as well as in experimental animals has been obtained. The authors believe that this method has clinical significance for further studies on the subject.
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