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耳鼻咽喉科領域手術の術前止血對策(其の1)—副鼻腔炎,扁桃肥大症等に於ける血中プロトロンビン量の消長に就て
六島 禎一
1
1濟生會兵庫縣病院耳鼻咽喉科
pp.869-876
発行日 1953年12月20日
Published Date 1953/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201048
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鼻腔,副鼻腔,口腔,咽頭等吾科領域の手術には往々止血困難となり,大量の出血を起す事がある。最終的には基幹動脈の結紮に依つて止血し得るが,血管結紮以外の方法に依つても出血量を最少限度に留どめる爲の方策が講ぜられる可きである。此の點に就き,手術手技の巧妙さ及び手術時間の短縮が出血全量を節約する上に重要な事は論を俟たないが,更に一般的に考えられる點は1)血液凝固性の亢進と2)細少血管内至毛細管壁強化及び收縮性増進の方策であろう。即ち手術前より創治癒迄の一定期間中何等かの方法で,血液凝同性を高度に隆め,或いは血管壁透過性を抑制し又血管收縮性を増進し得るならば術時の出血量を著しく節約し,術後出血を避ける事が可能であろう。尚お又若し3)一過性に局所に於ける血壓を低下させ得るならば,その止血効果は更に隆められるであろう。
之等の點に就いて多少の考案を爲すのも,必ずしも無意義ではないと考えて,先ず第一段作業として次の如き臨床検査を試みた。
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