特集 扁桃摘出の病理と手術
滿20年扁桃摘出5000餘例を顧みて
鈴木 俊次
1
,
高岡 壯一郞
1
,
田村 外男
1
1靜岡赤十字病院耳鼻咽喉氣管食道科
pp.785-788
発行日 1953年11月30日
Published Date 1953/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201023
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扁桃摘出手術の適應を年齡的に考えると,
1)14〜15歳を境としてそれ以上の年長者と
2)それ以下の年少者の場合とが有る。
年長者の摘出適應ついては,從來各方面より検討されているものと同意見であるが,年少者の適應については,強度の肥大及びアデノイドと云う事が更に加味されて鼻腔中耳又はその他の周圍器官に及ぼす影響という點で,病的なるべき扁桃は多數である關係上,摘出適應も亦多いわけである。摘出か切除かと云う事については笹木教授も指摘して居る樣に「扁桃に於ける病窩は咽頭腔に向う表面より,深部の被膜附近に潜在して居る場合が多い故,摘出が最良の治療法であると云い得る」とあるが吾々も苟しくも病的扁桃である場合は,年少幼兒を除いては摘出を實行している。吾々醫學的分野に於ては,つとに各種の豫防醫學と云う事が叫ばれて居るが,年少者の適應ある扁桃を摘出すると云う事も,その關係する疾患のみに限局せず凡ゆる意味で手術に依る豫防醫學の實行であると吾々は考えるものである。昭和8年以來靜岡赤十字病院耳鼻咽喉科に於て20年間に摘出した症例5000餘例に就て検討して見樣と思う。
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