特集 扁桃摘出の病理と手術
全身麻醉による扁桃,アデノイド摘出手術
吉田 申次
1
1吉田醫院
pp.750-758
発行日 1953年11月30日
Published Date 1953/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201014
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扁桃炎が屡々急性炎症をくり返し,或は病窠感染症の感染原である場合,その原病窠を拔本的に剔除することは最良の治療法である。而も手術は完全な剔出こそ絶對必要であつて單なる部分的切除では充分な効果を期待出來ぬのみか殆んど意味がないと云つても過言ではない。F. L. Lederer及びA. R. Hollenderは,其の著書Textbookof Ear,Nose and Throat,1947に病窠感染症の意義が確立されるようになつてから,肥大した扁桃の一部を「そぎ取る」"slicing off"扁桃切除術は今や全く影をひそめ合理的な扁桃摘出術が之に代つたと述べ,"Tonsillotomy"なる文字は既に歴史的遺物となり現在では如何なる成書,醫學雑誌等にも,も早見出されない状態で,我國の現状とは大分趣を異にして居る。我國では今尚小兒の扁桃手術は主として局所麻醉或は無麻醉の下に部分的切除のみなされ,摘出手術は少數の例外を除き殆んど行われて居ないようである。之に就いては種々理由もあるが,主として麻醉に原因すると思われる。小兒の扁摘は局所麻醉では特例を除いては全く不可能で,從來使用されて居る假面による吸入麻醉,或は靜脈麻醉等では幾多の困難があり殆んど成功しない。余は米國のEther Insufflation法に改良を加え,之を本手術に應用し昭和25年1月より昭和28年6月末日までの3年6カ月間に854例を經驗した。以下手術々式及び成績等につき述べる。
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