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血管性瘻孔症状を呈した1例
石浦 純一
1
1千葉大學醫學部耳鼻咽喉科教室
pp.229-232
発行日 1953年5月20日
Published Date 1953/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200890
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所謂血管性瘻孔症状(vaskulares Fistelsymptom)を初めて提唱したのはMygind S. H. であつて,彼は1918年迷路瘻孔を有する患者に就て,Baranyのundulierender Nystagmusが脈搏と同時性であり血流が瘻孔を通じて迷路に働いて起る症状であるからこれを血管性瘻孔症状と呼ぶべき事,及び其等の患者の頸動脈の壓迫又は壓迫の除去が著明な眩暈と眼震(又は眼震の方向,性質の變化)を起し得る事を報告し,後者をKarotissymptomと名づけた。其の後Bárány R. Borries G. V. Nylén C. Q. 等が此のMygindのKarotissymp. を呈した症例を報告し,其等の人人のうちBorriesは更に其等の症例に於てはゴム管による頸部の緊縛(Stasenfistelsylnp.)腹壓増強(Bauchpresseprobe)が同樣に眼震(又は眼震の變化)眩暈を起し得る事を見出し,其等を血管性瘻孔症状及び其の1検査法として提唱した。此等の血管性瘻孔症状の症例は其の後國外,國内共に報告が多くない。最近國内に於ては佐々木寬,平川一義両氏及び泉喜久夫氏が夫々MygindのSymp. を呈した1例を報告しておられる。私も最近Mygind,BorriesのFistelsymp.を呈した1例を經驗したので報告する。
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