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音叉聽力検査に於いては,Hartmann1)以來正常耳と被検耳との聽取時間百分比をもつてその耳の聽力を表わす方法が廣く使用されて來たが,其後多くの人に依り,之の方法には聽力障碍の判定法として根本的な誤謬のある事が指摘された。即ち,之の方法に依つて示される數値は,單に聽取時間の比較を表わしているだけで,正しい聽力比を示すものではないと云う事,又之の百分比に依る測定値は個々の音叉の特性に依つて左右されるから,共通の尺度としては使用し得ないと云うのがその主なる理由である2)。Langenbeck3)は「聽取時間百分比なるものは本來何を意味しているのか判然とせぬ」と云い,恩地氏4)も「本法は非科學的である」と述べている。正しい意味の聽力比が被検耳及正常耳の閾値に於ける音の強さの比較でなければならないとすれば,百分比表現法で難聽の程度を判斷する事は正しく一つの誤謬であるであろう。
百分比表現法に上記の如き缺陥のある事は間違ない事實ではあるけれども,併し私は,之の方法を單に誤謬だからと云つて捨去る前に,之の方法がどの樣に取扱つても全く使用に耐え得ない無意味なものかどうかと云う事に就いて,もう一度検討して見る必要があるのではないかと考える。殊に多くの臨牀的報告等に於いて,非科學的であり廢棄せられねばならぬ筈の百分比表現法が,相變らず盛に使用されている現状を見ると,以上の樣な検討を一度行つて見る事は決して無駄ではないであろう。
SUZUKI says that, despite criticisms that there is an element of error in the hearing test that employs Percentage bearing of tuning forks as a standard, a method which is much used at present, but, such an error could be readily overcome were basic output of the tuning forks in use be known as a known quantity beforehand. For an instance let L represent hearing loss (db) the value to be sought, P, the ratio of hearing time of the tun-ing fork, and, M, the basic output of the tuning frok in use; then, a formula is de ived thereby, in which, L=(1-P) M. The value of M being a known quantity, the value of L may be ea-sily obtained from that of P.
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