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ロエブの趨性学説より
pp.269,271
発行日 1952年6月20日
Published Date 1952/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200690
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ロエブの趨性学説では,動物の形態的相称面が同時に生理的又は動的相称面であることを強調し,動物体の相称点は同じ化学的組成を持ち等量の反応物質を含んでいるという.従つて例えば左右の眼に同じ刺戟量が加われば,同一時間内に生産される光化学反応の産物は両眼共に相等しく,これに連結する神経細胞の化学変化も左右相等しくこれに連絡する相称筋は左右相等しい張力を持つ.故に動物の運動は直線的に行われる
一方の眼が他よりも強く照される時には,その眼の光化学反応速度が増加し,神経系の均衡が変り,相称筋の均衡が破られる.その結果例えば陽性走光性の昆蟲では,より強く照された側の肢は屈筋の張力が強くなつて屈曲し,反対側の肢は筋張力が減ずるので体軸をより強く照された側へ向う.
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