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CLINICAL REPORTS
森永 泰信
1
1國立山中病院歯科
pp.445-450
発行日 1950年10月20日
Published Date 1950/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200416
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口腔結核の1例
緒言
口腔は結核菌の主要な侵入門戸であることは衆知の通りである.口腔より侵入した結該菌が呼吸器を介し,肺臟を浸し,氣管枝其の他の臟器に蔓延する.扁桃腺に於ても原発性傳染の基をなし,此れより呼吸せられ血行を介し,淋巴腺及び其の他の部に感染することが多い。其の他傳染経路としては消化器,泌尿生殖器,皮膚等があげられるが,Halle, Odenthol, Power,白数,西塚等は齲蝕歯の根管を介して,結核菌が身体各部に血行を通じ蔓延することを主張して,口腔及び歯牙と結核菌について世の関心を集めた.
併しながら口腔を原発とし,或は口腔内に病変の現われる事は,比較的稀であるとされている.
私は本院に入院中の1肺結核患者で,歯齦粘膜に結核性潰瘍を形成,歯科初診後約5ケ月目に死の轉機を採つた1例に遭遇したので,主として其の口腔症状及び治驗の一端を報告する.
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