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緒言
所謂急性白血病は1857年Friedrichの記載に始まつている.当時は急性白血病はすべて淋巴性なりとされたが,その後NaegeliによつてMyeloblasten発見され又多数学者によるOxydase及びPeroxydase反應の研究の進歩により慢性白血病と等しく急性白血病にも骨髓性及び淋巴性の2種ある事確認され現在に到つている.就中急性白血病はその発病たるや高熱を以つて始まり,著明な全身症状を呈しあだかも敗血症の如き感染性疾患を思わせ,而もこの際急性白血病として可成り特有なる変化とされる口腔内変化,即ち重篤なる壞疽性変化を屡々伴う事等から,急性白血病と口腔内粘膜の壞疽性炎症,更に臨床的に実際上敗血症の併存することの多い事実から,敗血症,口腔粘膜壊疽と急性白血病三者間の発生因果の関係は興味ある問題として古來種々の説がとなえられてその解決は今後に残されたる問題なるも,何れにせよ急性白血病に於ける口腔咽頭粘膜の壞疽性変化はその始発症状として來るものも,又経過中に発來し來るものも共に誠に予後不良の徴として恐れられ,白血病にして該変化を起し來るや壊疽進行の急激にして施すに治療の術なく大部分は1乃至2週の間に不幸の轉帰をとるものとされている事は衆知の事実であるが最近私は立木臨床に於いて重篤なる全身症状と壞疽性咽頭炎とを伴つた亞急性骨髄性白血病の患者に於いてペニシリンの投與により幸に咽頭壞疽の拡大を阻止し且つ治癒せしめて一時的なりとも患者の苦痛を除去し得た例を経過の該略をここに報告する.
Ouchi says gangrenous pharyngitis of rapidly spreading character in a female child, 10 years of age, who was suffering from myeloblastic leukemia, showed marked improvements within a few days when 400,000 units of penicillin was given parenterally along with blood transfusions and other general therapeutic measures. However, the patient died from the progress of leukemic affections.
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