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緒言
耳鼻咽喉科領域に於て口腔,鼻咽腔,咽頭,頸部に細網肉腫が発生する事は屡々であるが鼻腔,副鼻腔には発生が比較的尠いとせられ,文献を観ると上顎洞細網肉腫に就ては大沢,永井,深町,林,森,長尾,村田の諸氏の報告例があり,固有鼻腔に発生したものは外國ではGreifensteinの左側鼻腔に発生したものがあると云われるが本邦では報告が見られぬ樣である.然し最近造血組織の腫瘍の研究が進み,從來我々の領域でも淋巴肉腫として報告せられたものゝ中に細網細胞の増殖分化に依つて発生した腫瘍が多数含まれるとされるから,今日迄鼻腔淋巴肉腫と云う樣な名称で報告せられたものか或は詳細に組織像を檢査したならば細網肉腫であつたかも知れない.尚又此の腫瘍の特徴として比較的早期に周囲に波及増殖し易い所から鼻腔に原発したものも上顎骨,副鼻腔等に及び,初期の所見が見られない点もあるであろう.
我々は最近明かに下甲介に原発したと思われる細網肉腫に遭遇し,之にラヂウム照射を試みた所些か見るべき効を示したので,今後諸賢の此種の例に遭遇せられた時の御參考になればと思い記載する次第である.
9. Iwamoto and Kanazawa report that with radium irradiation a case of myxosarcoma in a man 67 years of age was successfully cured. The seat of sarcoma was on the inferior turbinate of the left nose. Histological examination of the biopsy specimen revealed the growth to be highly degenerated in areas.
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