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緒言
喉頭結核症と肺結核症との間には極めて密接な關係があり,喉頭結核症は殆ど總て肺結核症の續發症として現はれるものとされてゐる.所謂原發性喉頭結核症なるものは理論上存在し得るものとしても,臨床家の遭遇する症例は總て續發性喉頭結核と謂つて差支へない.而して肺結核より喉頭結核を發來する經路に就ては,多くの學説があるが,要するに喀痰による管内性傳染説と血管淋巴管による傳染説とに要約せられる.管内性感染説は現今最も多くの學者の是認する所説であつて,血行淋巴道による感染説は喀痰接觸を以て唯一の傳染系統とする學説に反し,血行性淋巴管性に波及進展するものであるとし,近時これを以て最重要の傳染因子と見做す學者も漸く増加して來た.又喉頭結核は主として喀痰傳染により起るが,時として血行性にも發來するものであるとする者もある.私は第一編で喉頭結核患者の肺病變範圍に就て觀察し2,3の知見を得,とれを發表したが,更に喉頭結核を合併した肺結核患者群と.未だ合併してゐない肺結核患者群との間に空洞の諸性質を比較し,空洞が喉頭結核發生に如何なる關係があるかを明らかにし,併せて喉頭結核發生機轉を究明しようとして統計的觀察を行つた.
Relation on the onset of laryngeal tuberculosis and the existance of tuberculous cavities in the lungs was investigated on statistical basis. Presence or absence of cavities seems to have some relation, but the size of such cavities was not a determinant factor.
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