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緒言
Weber氏現象の成立に關しては既に一定の法則が確立されて居り,兩耳健聽者にあつては頭部中央に音又脚を當てる時は,該音又は頭蓋正中に聽取せられ,之に對し一側傅音器障碍者は同側,感音器障碍者は反側に音叉音が偏倚して聽取せられるという.然るに實際に當つては必しも本法則に一致せざる症例が出現するのみならす,時に其法則に相反する成績を與へる場合があつて,斯くの如き場合は古來paradoxe Weberと呼ばれている.而して斯くの如き場合の原因に關しても之を明瞭ならしめる事は必しも容易ではない.依て余は,斯くの如き場合の原因に關し少しばかりの考察を加へて見たのであるが,文献的に考察するに,嘗て牧田に頸部を廻轉する時は或程度迄Weber氏現象に變化が現われる事を觀察し,之が原因は頸部廻轉により頸部交感神經が刺戟せられ,又内頸靜脈壓迫に因り頭蓋内血流血壓の變化が起り,斯くて迷路壓變動を見る爲ならんと説明している.
然乍Weber氏現象に及ぼす影響の原因は,果して迷路壓變動のみに依て解決せらる可きものであろうか.Weber氏現象成立の抑の所には音響の頭蓋内傅導を基礎として現われるものである所を見るならば,單に兩側中内耳機能の如何のみならす,頭蓋内部に於ける音響エネルギーの分布状態も本現象成立に重要なる原因的要素となるであろう.
On the assumption that the pressure on the eye-ball might have certain influence on the conduction of intracranial sound energy, a study made on 100 normal individuals to find out the effect of occular pressure on Weber's phenome-na. Certain number of cases showed no chan-ges, while about 2/3 of cases showed deviation to either side Of these the largest number showed deviation to the opposite side of the eyeball to which pressure was applied; and de-viation to the same side of occular pressure occurred next in frequency.
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