論述
皮膚壓迫の自律神經機能に及ぼす影響
高木 健太郞
1
1新潟大學醫學部生理學教室
pp.255-262
発行日 1951年6月15日
Published Date 1951/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425905587
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1.半側發汗反射
1.體位變換に伴う發汗の再検討
久野(1)はその名著「The Physiology of Human Perspiration」の中で,次のような書き出しから初まる奇異なる發汗現象を記載している。"When, on a hot summer night, I was lying on the bed, I noticed that the sweating on my forearms varied in a peculiar manmer with change in position of my body,……
仰臥位のときには両前膊の發汗には差異はないが,右を下にしていると,右前膊はまもなく完全に乾燥し,同時に左側は著しく濡れて來る。左を下にしていると丁度反對になる。そして毎夏晩くりかえしたが常にこのことを確め得た"という。また注意深い母親は授乳の際,乳兒の上側半身にのみ發汗するのを認め,一人の若い母親は乳腺炎のため,一方の乳のみから授乳していた所,乳兒の左側半身にのみ汗泡が發生したことを報告している。緖方,市橋(2)はこの奇異なる發汗現象の動機について詳細にして系統的なる分析實驗をくりかえし,次のような結論に達した。この現象は一種の反射によるものであり,頭部の位置には關係はない。
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