--------------------
—佐藤教授開講20週年紀念論文—結核性咽後膿瘍4例に就て
飯野 早苗
1
1慈惠醫大耳鼻科教室
pp.23-25
発行日 1949年1月20日
Published Date 1949/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200122
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
結核性咽後膿瘍は脊椎カリエスを其の發生の前提とする事は勿論である.歴史的に見ると本疾患の存在は古くから認あられて居り,ヒポクラテス氏アンギナとも稱せられたとも云ふ.抑々脊椎カリエスは前田氏に依ると結核性疾患中,肺結核,肋膜炎,結核性腹膜炎,腺結核に亞で第5位に在り,一方骨關節結核中44.0%で首位を占めるとし,近藤氏は脊椎カリエスは腰椎を第1位(48.5%,第2位胸椎(46.1%),第3位頸椎(4.6%)と述べて居る.又本症の年齢的關係は21歳〜30歳38.0%,11歳〜20歳21.1%,31歳〜40歳19.3%であり,殊に21歳〜25歳迄を最好發年齡として居る.(奥本39.5%,島田35.7%).脊椎カリエス發生の時期は所謂ランケ氏の第2期に相當し,肺結核殊に血行性撒布型肺結核に關係し定型的の浸潤型には比較的少ないとされ,又前田・奧本兩氏に依れば21.4〜24.4%に肋膜炎が先驅して居ると云ふ.椎體にカリエスを生すれば其病竈附近に瀦溜膿瘍を形成し遂には弱い組織間隙を縫ひ流注膿瘍となるが,其の通路に就ては「ヘンケ」「ケーニツヒ」「ウイツエル」「シユミツト」等に依り精しく記載されて居る,即ち椎體から出る膿瘍は先づ其前方を包む前縦走靱帯を持ち上げ,或時は之を穿通して脊椎の前側方主として側方に現れ次に各脊椎部位の解剖的關係こ依つてそれぞれ特有な通路を取る.
Copyright © 1949, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.