Japanese
English
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蛋白分解酵素の疣贅に対する効果
THE THERAPEUTIC RESULT TO VERRUCA WITH PROTEOLYTIC ENZYMES
望月 直
1
,
郡司 早苗
1
,
小池 甫
1
Tadashi Mochizuki
1
,
Sanae Gunji
1
,
Hajime Koike
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tokyo Jikeikai School of Medicine
pp.583-589
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202276
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緒言
自然界に於ける生物の営む合成,分解等の作用は,すべて有機触媒物質である酵素によつて行われており,その種類も数千におよび且つ極めて応範囲に分布している。近時,抗生物質や化学療法剤の急激な進歩に伴つて,これら酵素あるいは酵素系物質の研究が盛んとなつて来た。このうち蛋白分解酵素Proteaseは蛋白質構造の究明に利用され酵素学中,特に重要視されている。即ちpolypeptid又は蛋白質のpeptid結合の加水分解に関与する本酵素は,臨床的には1951年Roet-tig等により結核性膿胸に応用されたのを始めとして,現在各科領域に於いて広く利用されている。従来皮膚科領域に於いては,蛋白分解酵素として牛の膵臓から抽出したTrypsin製剤を壊死紐織溶解剤として,難治性の癰,癤等の膿皮症および火傷,皮膚結核,癌等による潰瘍,糜爛又は潰瘍面等に使用し,可成りの成績を収めている報告がある。
今回われわれは,帝国化学産業株式会社より提供された蛋白分解酵素"Nagarse"を,Virus性疾患と考えられる疣贅に使用し,甚だ興味ある結果を得たので,ここに主としてその臨床的効果について報告する。
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