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腎実質,腎盂に破裂がなくて,腎盂周囲に自発的に尿浸潤を惹起するというのは極めて稀である。それは急に尿管が閉塞して,ために,腎杯fornixから腎杯結合織へ,さらにGerota筋膜内え,つまり腎周囲脂肪織え尿滲潤を招くというタイプが普通である。Hinman(J. Urol. 85:385, 1961),Fine(J. Urol. 84:409, 1960)らによると当時まで,かかる浸潤が8例報告され,特異な臨床症状というのはないそうである。しかしcolic様の尿管閉塞性の疼痛発作につづいて腹膜刺激症状を伴う腎部痛持続は本症を疑わしめる。著者症例は60歳婦人,臍周囲のcolic様激痛発作,30分後,疼痛は右下腹部え放散し,悪心嘔吐あり。右腸骨窩に限局するsharp painあり。時間の経過と共に疼痛増悪す。腎結石の既往なし。20年前子宮筋腫手術を受く。右下腹部もつとも圧痛つよく,腹部全体に圧痛あり。肝(-),脾(-).腸音正常。体温98.5°F,脈拍98,血圧200/100。Ht41,白血球15800。尿に蛋白(-),糖(-),比重1.017。少数の赤・白血球をふくむ。血液化学正常。コレステロール379mgでやや高い。腹部レ線異常なし。下垂した胆嚢の炎症か,内嵌頓か,腸間膜血管栓塞かを疑う。IVPで右hydronephrosisの所見あり。膀胱鏡で右尿管孔は浮腫状。IVP45分像でperipelvic extrasavation像を得た。尿管開口直上に結石証明さる。手術的に剔除。輸尿管カテをおき24時間で症状去つた。Serebro, H.A. ; Druskin, M. & Robbins, M.A. : Spontaneous peripelvic urinary extravasation without kidney rupture
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