文献紹介
排泄性腎盂撮影の改良,他
H.N.生
pp.448
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204075
- 有料閲覧
- 文献概要
排泄性腎盂撮影がなかつたとしたら,今日の泌尿器科学の隆盛は見られなかつたであろう。それ程排泄性腎盂撮影は,膀胱鏡検査と共に,泌尿器科検査のうち重要な部分を占めている。しかし1930年Moses Swickが始めて静脈性腎盂撮影を行つて以来,最近に至る迄,造影剤の進歩を除いて,方法そのものについては大した進歩・改良は見られなかつた。1962年M. C. Wilson等はセカンド・インジェクション法によつて,より鮮明な腎盂像が得られることを発表し,我国に於いても多くの泌尿器科医により追試が行われた。1964年9月のJ. Urol.にコロラド大学のJ. A. Whitesel等が点滴により大量の造影剤を注入することにより,腎機能の低下した患者で,通常の静脈性腎盂撮影では腎盂の描出されないものでも,鮮明に腎盂像が得られるという論文を発表した。造影剤は50%ハイペークを使用し,点滴は通常90cc,症例により150cc位点滴静注している例もある。80%アンギオ・コンレイを使用し同様の方法を試みた所,腎機能低下のため通常の腎盂撮影では,腎盂像の得られなかつた例でも,鮮明な腎盂が描出された。その他の症例でもネフログラムの出現時間が早く,腎盂像も早くかつ鮮明に現われ好成績を修めている。副作用として点滴中殆んどの患者が軽度乃至中等度の血管痛を訴えているが,嘔気,嘔吐,沃度疹等の副作用は今の所1例も見ていない。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.