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I.まえがき
合成院マラリア剤の皮膚疾患治療剤としての応用はPage25)がQuinacrineを慢性エリテマトーデスに用いて卓効を得たとの報告(1951)を契機として著しく進展した。すなわち,Prokoptchouk28)は慢性及び亜急性テリテマトーデスの治療に,Quinacrine(抗マラリア剤)と同様に8-Amino-quinolineを有するPamaquine(Plasmochin)を始めて導入し(1940),続いてSorinson33)その他によつて汎く追試された。続いてこれと類似の構造式を有し,皮膚の黄染,造血臓器の障害並びに不規則な効果などの難点を除いたChloroquine diphosphate(Resochin)が合成され,慢性・亜急性エリテマトーデス(Goldman7),石原11),北村16),石関12),河村15),菅原34)その他)のみならず,日光皮膚炎(石原11))及び日光蕁麻疹,夏季水疱症をも含めた日光疹(Rogers & Finn29),Pillsbury & Jacobson27)),剥脱性口唇炎及び自家感作・接触・アトピー皮膚炎など(Ayres & Ayres2)石原11)),酒皶(石原11),檜山9),Lueffi Tat20))に用いて好成績が得られ,汎発性輩皮症(Cornbleet et al11),Gingsbery11),Lewitus19),Ayres & Ayres2)),結節性動脈周囲炎(石原11))などに対する治験,慢性湿疹(岡本・松崎23)・Siai31)),瘙痒性皮膚症(Zierz39),石原11),Ayres & Ayres2)ら)に対する治効も報告され,今日慢性多形日光疹を始めとする光線過敏性皮膚疾患に最も広く奨用されている現状にある。
燐酸クロロキンは結合織基質成分に直接作用し,腫瘍細胞の抑制のみならず,線維芽細胞の完全な発育を抑えて増殖現象を強力に抑制し,ATP分解酵素を抑制することによつてATP増加的に働き,エリテマトーデス患者におけるV.B2代謝の正常化作用を有し,さらにArthus現象を指標とした動物実験で著明な抗アレルギー作用を示すことから,当然本剤の諸種皮膚疾患に対する応用が考えられる。
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