Japanese
English
産科 妊娠中毒症
"キドラ"(Chloroquine diorotate)による妊娠中毒症性蛋白尿,特にその後遺症の治療
Treatment of toxemic albuminuria, particularly its secondary diseases with"Kidora" (chloroquine diorotate)
山下 徹
1
,
山崎 正義
1
,
道又 卓
1
,
金子 英一
1
,
千葉 泰男
1
Toru Yamashita
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.64-67
発行日 1962年1月10日
Published Date 1962/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202559
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Ⅰ緒言
妊娠中毒症性蛋白尿,特にその慢性化せるものの1症状として高血圧の他に蛋白尿を後遺症として認めることがある。これに対しては,従来良い治療法がなく,単にその増減を観察するか又は,高張ブドウ糖の注射などを行う程度であつた。しかるに最近,腎炎,ネフローゼ等の内科系疾患に対しACTH,Cortisone等の副腎皮質ホルモンが治療効果を有することが報告されて以来,妊娠中毒症に対しても応用される様になつて来た。即ち1950年にFarnsworthは1)2)3),糸球体腎炎にACTHを使用し,血尿等が減少し,ネフローゼ症候群にも投与して利尿や尿蛋白の減少を認めたことを報告した。これは,リウマチなどの抗原抗体反応によると思われる疾患に,ACTH,Corti—soneが,よく効いたので,やはり抗原抗体反応でおこると思われる糸球体腎炎に応用される様になつたものであろう。大島等4)は,ACTH,Cor—tisoneの糸球体腎炎に対する作用機序を糸球体の病変を改善し蛋白透過性を減少させ,血漿アルブミン値を上昇させ,この事が利尿の機序に主要な役割を演ずるとのべている。
妊娠中毒症に対する報告としては,Frcidell等5)が副腎皮質ホルモンを用いて効果のあつたことを報告している。本邦に於いては,副腎皮質ホルモンが妊娠中毒症に対し著効のあることを報告せるものは,殆んど見当らない。
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