Japanese
English
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各種皮膚疾患に対するピリドキサール燐酸の臨床効果
CLINICAL USE OF PYRIDOXAL PHOSPHATE IN SEVERAL SKIN DISEASES
土肥 淳一郎
1
,
籏野 倫
2
,
川村 太郎
3
,
三浦 修
4
,
野口 義圀
5
,
安田 利顕
6
,
姉小路 公久
7
J. DOHI
1
,
H. HATANO
2
,
T. KAWAMURA
3
,
O. MIURA
4
,
Y. NOGUCHI
5
,
T. YASUDA
6
,
K. ANEKOJI
7
1東京慈恵会医科大学皮膚科
2慶応義塾大学医学部皮膚科
3東京大学医学部皮膚科
4日本大学医学部皮膚科
5横浜市立大学医学部皮膚科
6関東逓信病院皮膚科
7同愛記念病院皮膚科
pp.79-86
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203685
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I.はじめに
ビタミン研究の著しい進歩に従って,ビタミンB群の化学構造と共に生体内に於ける作用機序についても明らかにされつつある。ビタミンB群は生体細胞の呼吸に際して糖質の酸化過程に不可欠の諸酵素として極めて重要な意義を有しており,これらビタミンB群の代謝異常の影響が肝機能,内分泌機能との密接な関係と共に皮膚に反映し,皮膚病変準備性というべき状態を作りあげることが考えられる。そこで内因性皮膚疾患の治療に於けるビタミンB群の効果については以前より検討され,その結果が期待されていた。
B6はその発見経過より抗皮膚炎因子として知られていたもので,György1)はネズミをB6欠乏食で飼育することによつて,体重減少,ペラグラ様皮膚炎,脂漏性皮膚炎,脱毛,粘膜の皹裂と潰瘍形成を認め,その他リンパ組織の萎縮,尿中キサンツレン酸の排泄増加,蓚酸の排泄増加を観察しており,Müller & Vilter2)は抗B6剤たるデソキシピリドキシンを用いて口唇,口角,口内炎などのアリボフラビノーシス様皮疹と共に鼻唇溝,眼,眉毛周囲の脂漏様皮疹,さらに重篤な食欲不振,悪心嘔吐,嗜眠錯乱,などの全身症状を起さしめ,この症状がB6の投与によつて早期に回復することを報告した。Wright3)はB6による脂漏性皮膚炎の治験を報告し,帷子4)もB6による脂漏性皮膚炎の治癒率は78.4%であつたとし,また竹田5),石関6)らも尿中B6の排泄低下と,トリプトファン投与による尿中キサンツレン酸の増加の認められたことより,脂漏性皮膚炎とB6との関係を重視している。
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