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病因の不明な現在,水疱性疾患は病因の不明な現在,水疱性疾患は組織学的,細胞学的並に臨床的特徴から次のように分類するのがよいとの結論に達した。(1)尋常性天疱瘡群。増殖型,落葉状天疱瘡,紅斑性天疱瘡を含む。外胚葉性(表皮内)水疱を形成し,アカントリーゼあり,Tzanck試験陽性。(2)疱疹状皮膚炎。異型として妊娠性疱疹がある。中胚葉性あるいは二次的外胚葉性水疱を生ずる。アカントリーゼなし。尋常性天疱瘡との移行は見られない。(3)水疱性類天疱瘡。異型として結膜天疱瘡とBrunstingの頭頸部類天疱瘡を含む。一次的中胚葉性水疱を形成し,アカントリーゼはない。多形滲出性紅斑と関係があるという著者も少なくない。疱疹状皮膚炎との差別には,この疾患においては臨床的に変化のない皮膚にも組織学的に炎症性病変が存し,水疱性類天疱瘡においては水疱自体乃至その直接周辺にのみ病変が限られているというRitzenfeldの膨大な業績を引用することができる。Touraineもいう如く,アレルギー性,中毒性,感染性,先天性に由来する同様症状のものは除外して,病因不明のもののみに水疱性類天疱瘡の名を与える。(4)遣伝性疾患群:a)慢性良性家族性天疱瘡。アカントリーゼを認めるが,分離する細胞は十分な生命力を保有している。尋常性天疱瘡においてはアカントリーゼを起す細胞は変性に陥つている。b)遣伝性表皮水疱症。表皮下の水疱形成と共に真皮上層の弾力繊維の変性を示す。(Lutowiecki,J.:Betrachtungen zur Klassifizierung und Diffe-renzierung von bullösen Krank-heiten, Hautarzt,15,228,1964)
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