Japanese
English
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非特異性尿路感染症—脊損患者の尿路感染症の治療
TREATMENT OF THE URINARY TRACT INFECTIONS IN TRAUMATIC PARAPLEGICS
近藤 賢
1
,
内藤 政男
1
,
河田 幸道
1
Masaru KONDO
1
,
Masao NAITO
1
,
Yukimichi KAWADA
1
1関東労災病院泌尿器科
1Department of Urology, Kanto-Rohsai Hospital
pp.651-654
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203822
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I.緒 言
外傷性脊髄麻痺の患者には殆んど不可避的に尿路感染症が合併してくる。この尿路感染症は受傷直後の急性期においては腎障害から急速に敗血症に進行する可能性をもち,第1次大戦当時にはこれにもとづく早期死亡が極めて高率であつたと報告されている。そこで脊損患者の尿路管理の重要性が認められ,多くの研究が行われた。且つ抗菌性薬剤の進歩もあり,現在では急性期における尿路感染症にもとづく死亡は激減している。このような治療上の進歩は慢性期脊損患者の増加をもたらし,その尿路感染症の問題も急性型から慢性型へと変つてきている。
急性期に合併した尿路感染症は患者の全身状態が回復し,排尿機能がよくなつて経尿道的処置が不必要となっても存続する。慢性期における尿路感染症は膿尿及び細菌尿のみが主要所見である慢性型であつて,それに時として悪感高熱のような全身症状を伴う急性型が加わる。かかる慢性尿路感染症は極めて難治であり,強力な抗菌性薬剤投与を行つても少数の例外を除いては殆んど治癒しない。それ故慢性期脊損患者における細菌尿・膿尿の存続を気にかけて治療を試みても余り意味がないという見解もある。しかしComarr 1961によれば現在でも脊損患者の27%は腎疾患で死亡しその腎疾患の原因は感染であるという。従って現在においても尿路感染症は慢性期脊損患者の死亡原因として無視出来ぬ重要性をもつている。
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