Medical Topics
ビタミンB12欠乏の治療,他
R.T.
pp.94-95
発行日 1966年1月1日
Published Date 1966/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912611
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わが国では,欧米に比べてビタミンB12欠乏,とくに悪性貧血はすくないとされていました。しかし,最近は以前よりも多く報告されるようになってきました。とくに胃切除後のビタミンB12欠乏は,注意深く診察すれば,決してすくないものではありません。それゆえビタミンB12欠乏による貧血は,これまでいわれていたようにわれわれに縁のないものではなく,もっと関心をもってよいもののひとつなのです。
このようなビタミンB12欠乏に対する治療としては,ビタミンB12の非経口的投与,または内因子(豚の胃の粉末)と一緒の経口投与がおこなわれています。とくに非経口的投与が広くおこなわれているようです。以前は,注射製剤としては低単位のものしかなく,従って頻回に大量を使わなければならない状態でした。しかし,最近1000γの高単位の製剤があらわれ,より容易に治療をすることができるようになってきました。さらに血中濃度をより持続できる誘導体であるヒドロキソ,コバラミンの製剤も出ています。これら高単位の製剤ですと,貧血に対しても5〜6回の注射で十分であり,その後の維持量としても3月ごとに1回程度の注射でよいようになりました。
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