Japanese
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泌尿器科図譜・177
興味あるX線像を示した前立腺癌の1例
A CASE OF CARCINOMA OF THE PROSTATA, THAT SHOWED INTERESTING RADIOGRAPHIC APPEARANCE
田辺 与市
1
Yoichi TANABE
1
1京都市中央市民病院皮膚泌尿器科
1Department of Dermato-Urology, Kyoto Municipal Civil Hospital
pp.640
発行日 1964年7月1日
Published Date 1964/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203818
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患 者 48歳♂ 主訴 5ヵ月来の尿意頻数,既往症特になし。検尿蛋白(+),沈渣は赤血球(+),白血球(+),上皮細胞(+)の他異常所見なし,残尿約200cc,膀胱鏡で向つて左側に大半を占める表面平滑な腫瘤を認めた。青排泄右2'35",左2'正5"。直腸診では前立腺が固く触れたので,尿道膀胱造影をした処,第1図の様に膀胱基底部の上挙,後部尿道の延長及び虫喰状陰影をみた他,特異な事に膀胱開口部にデルタ状の三叉陰影を得た。それで膀胱鏡でみた腫瘤と前立腺癌との重複癌が疑われた為,バリウムを膀胱内に注入し,之を排除した後に空気を充満させ断層撮影で膀胱造影を行つた処,背面より10cmの写真に第2図の様な興味ある膀胱内腫瘤像が得られた。之により前立腺より膀胱内面に突出した腫瘤である事を確認できたので,第3図の様に之を含めて前立腺全摘除術を行つた。組織像は第4図の通り種々な大さと形に増殖した腫瘍細胞巣で占められた一部未分化の腺癌であつた。
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