座談会
皮膚疾患と脂溶性ビタミン
安田 利顕
1
,
樋口 謙太郎
2
,
加納 魁一郎
3
,
佐渡 博
4
,
小堀 辰治
5
,
高橋 吉定
6
,
岩下 健三
7
,
桜根 好之助
8
,
土肥 淳一郎
9
,
谷奥 喜平
10
,
橫山 硈
11
,
田中 宏
12
,
川村 太郎
13
,
吉田 重春
14
,
伊藤 実
15
,
神村 瑞夫
16
,
根岸 博
17
,
野口 義圀
18
1関東逓信病院
2九州大学
3名古屋大学
4京都大学
5東京逓信病院
6順天堂大学
7北海道大学
8大阪市立医大
9慈惠医大
10東京大学
11慶応大学
12新潟大学
13金沢大学
14鳥取大学
15東北大学
16札幌医大
17岡山大学
18横浜医大
pp.927-934
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201526
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〔ビタミンA〕
安田 これから座談会をはじめたいと思います。今晩は「脂溶性ビタミンについて」ということになつておりますが,この中で最も広く使われていますものは何といつてもAとD,それにEだと思います。そこでこの順序を追つて話をすすめて行くことにしまして,先ず皮膚疾患とビタミンAの問題について樋口先生からお願いいたします。
樋口 今日ではAの問題は特別とりたてて申上げることもないと思いますが,吾々がAを使うのは,主として角化性疾患,角化が起因するいろんな皮膚疾患であります。A剤の中でチヨコラA・Dは従来の肝油,あるいはオボラールに比べて使い易いことが特長だと思います。しかし効果についての他のA剤との比較になるとむずかしくなります。角化性疾患とビタミンAの問題についてはこれまで二,三雑誌に書いておりますので,それには触れないことにいたしますが,最近3例のダリエー氏病を経験いたしました。1例は割合高度で,特に顏面に湿疹が著明に出ておりました。顏面だけに出ておりますので,最初は診断がつかなかつたのですが,組織像その他のことからダリエー氏病だということになりました。これにビタミンAの治療をもつぱら行いました。かなり大量使つたのですが,綺麗に癒りました。それから胸背中に出来ておりました他の2例も軽快しております。しかし一時癒つてもまた再発する可能性があるんじやないかと懸念しておりますが,今のところは著明な再発は起つておりません。
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