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思いつくまま(32)
藤田 英輔
pp.1075
発行日 1963年11月1日
Published Date 1963/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203643
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医学の改築
家庭と教室の間の往復を単調に繰り返している日常で,草ぼうぼうの空地であつた所に堂々としたビルが欝え立つたり,埃とぬかるみで困つていた悪路が快適な舗装道路に生れ変つたりするのを見ると,自分の日頃従事している医学のことが引き合いに浮んで,つい考え込んでしまう。
自分が医学の道に志したのは大学入学以来のことであるから,かれこれ20数年になるわけだが,今までに築いてきた研究成果はあのビルや道路に比べ,その堅固さや有用性に関し果して劣るところがないだろうか。ともすれば研究の基礎に不安定なものを感じ,研究を前進せしめるよりも土台の堀り返しに戻らなければならなくなるのはどうしたことだろう。
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