Japanese
English
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皮膚悪性腫瘍の生化学的研究
BIOCHEMICAL STUDIES ON THE MALIGNANT TUMORS OF SKIN
野原 望
1
Nozomi NOHARA
1
1岡山大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Okayama University Medical School
pp.673-680
発行日 1963年7月1日
Published Date 1963/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203555
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I.序論
悪性腫瘍組織ひいてはこれを構成する腫瘍細胞はその母細胞のいかんを問わず,また表面的原因のいかん(自然発生,人工的発生,virus性)を問わず生化学的には毎常ある一定のpatternに合流してくるといわれる。すなわちGreensteinの仮説である1)2)。さらに次の段階として,悪性腫瘍組織はその宿主生体(host)に一定の生化学的影響をしだいに与えるようになる。それは担腫瘍生体の代謝相が漸次悪性腫瘍組織自体のそれと似かよつたものに化して行く傾向を指すものであつて,中原2)はこれをGreerlsteinの第2法則と呼んでいる。悪性腫瘍におけるこのような原則ないし仮説は,単にヒトにおいてのみならず,すべて動物に共通であり,いわば種を超越したものとされている。悪性腫瘍の本態を究明するための基礎的研究としての生化学分野における近年の業績はまことに多彩広範囲にわたつており,一見著しい進歩を示しているかのごとくみられるが,悪性腫瘍の発症機序解明という究極の目的からみれば前途はなお遠く,今日までの収穫はまことに不満足なものというほかはない。
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