Japanese
English
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真皮内メラニン細胞の発生機序に就て
STUDIES ON DERMALMELANOGENESIS
伊藤 実
1
,
谷田 津奈男
1
Minoru ITO
1
,
Tsunao TANITA
1
1青森県立中央病院
1Department of Dermatology, Aomori Central Hospital
pp.667-672
発行日 1962年8月1日
Published Date 1962/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203326
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I.緒言
さきに伊藤1)は,その神経組織学的所見,種々の組織化学的検索により,太田の眼上顎褐青色母斑,青色母斑,蒙古人斑の場合の真皮内色素細胞が間葉性の神経鞘(Endo-Perineurium)に関連する細胞と推察し,発生学的にはWeideneichの所謂perineurale Pigmenthülleに配属さるべき事を発表した。更に之等3者の真皮内色素細胞と肥満細胞との関係を観察し,色素細胞と肥満細胞との配置の近接せる状態を証明し,一部の細胞に本来の肥満細胞顆粒とメラニン顆粒とが共存する所見を見て居る。そして更に肥満細胞がUnnaの所謂酸素部位に該当する所見より,酸化酵素の見地から肥満細胞が,メラニン生成上重要な因子たる事に想到して居る。一方川村等2)は前記3者の色素細胞の起源に就て神経櫛起原を主張し,青色母斑に於て神経鞘腫の特徴たる核パリセードを観察して居るが伊藤3)は上記の見地より発生学的に烏骨難を用いて間葉系由来の色素細胞を観察して第58回日本皮膚科学会総会に於て発表した。今回,我々はその臨床所見が太田の褐青色母斑に酷似する烏骨難眼瞼に着目し,之を比較解剖学的見地より組織化学的染色及び神経組織学的検索を行い伊藤の所説の裏付けを試み,興味ある所見を得たので報告する。
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