Japanese
English
--------------------
老人性血管腫の臨床的並びに病理組織学的研究
CLINICAL AND HISTOPATHOLOGICAL STUDIES ON ANGIOMA SENILE
中村 絹代
1,2
Kinuyo NAKAMURA
1,2
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
2慶応義塾大学医学部病理学教室
1Student of Post-graduate Medical School, Department of Dematology, School of Medicine, Keio University
2Department of Pathology, School of Medicine, Keio Univ.
pp.275-283
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203249
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.緒言
皮膚の老人性変化としては一般に老人性疣贅,老人性色素斑,老人性白斑,老人性血管腫,項部菱形皮斑などがあげられる1)。又組織学的な検索としては,皮膚の結合織の変化は,諸臓器の結合織の老化現象に先行して起りうるであろうという仮定のもとに,弾力線維,膠原線維の変化に注目した報告は甚だ多いが2)3)4),今なお解明の域に達していない。著者は老化現象の一面を小血管の変化から窺うべく,所謂老人性血管腫Angiomasenile (以下A.S.と略記)について,臨床的並びに病理組織学的検索を行つた。
所謂老人性血管腫は,老人に見られた,nichtkavernöses tardives Angiomとして,Virch-ow5)が始めて記載して以来,多くの報告が見られるが,始めてAngioma senileとの名称を提唱したのは,Dubreuilh6)で,組織学的には,真皮乳頭部における膨脹したBlutsäckchenの集団で,血管芽組織が見られると記載している。最近に至つてSchnyder7)及びKeller8)は,詳細な臨床的並びに組織学的考察を行い,若年者にも発見頻度の高い所から,老人性なる語は不適当であり,又組織学的には,初期像をAngioblastomに近似のものと述べている。
Copyright © 1962, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.