学会印象記
第13回西日本皮膚科泌尿器科連合地方会印象記
重松 俊
1
1久留米大学泌尿器科
pp.1038-1039
発行日 1961年12月1日
Published Date 1961/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203191
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私が印象記を書くことは当を得て居ないと思うが,編集部からの依頼であるので述べる事にする。
10月21日(土)13時15分から会長布施四郎先生の挨拶があり15分間の議事,引続き楢原教授の座長で後藤講師(久大)の特別講演「腎血流と高血圧に関する実験的研究」が発表された。同氏はBurchの所謂Muscularsphincter of renal veinの存在を認め,之の機能不全(硬化)に依る腎のpassive hyperaemieを考えたが,腎血行動態,血清電解質,NPN,PSP等の価は一般に影響が少なく,又腎の組織障害も少ない。従つて腎の固有機能(外分泌)は障害される事が少なく,換言すれば之はRenoprival hyperteusionでなく,所謂腎性高血圧と考えられる。又臨床的に腎性高血圧症の神経節遮断剤による血圧変動の型と動物実験の夫と相似点を見出した。ただ尿に関する検索がなされて居らず又副腎肥大に関してその病理組織学的検索,更に脳圧に関する検索等も実験してほしかつた。然し教室の御家芸とも言う可き電顕像に関して美事な写真をみせ,傍糸球体,細尿管間質に特殊分泌顆粒細胞を認めた事は特筆に値すると言つてもよかろう。楢原座長も申された如く,腎性高血圧症は現在泌尿器科領域の重要なテーマで,此後益々研究すべき諸問題が残されて居る。
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