印象記
第15回 西日本皮膚科泌尿器科連合地方会印象記—皮膚科の部
野北 通夫
1
1長崎大学医学部皮膚科教室
pp.91
発行日 1964年1月1日
Published Date 1964/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203687
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第15回西日本皮泌科連合地方会皮膚科の部は泌尿器科の部のあとを受け11月10日(日),秋晴れの宮崎市の県立病院講堂で開催された。
まず特別講演では岡大野原助教授の「皮膚悪性腫瘍の生化学的研究」で氏は非腫瘍部と腫瘍部皮膚及び血清,さらに腫瘍部とマウス実験皮膚癌との間に於ける無機物質,蛋白,アミノ酸,糖,糖原,脂質,ビタミン等の量的変動を比較検討し,悪性腫瘍組織と宿主生体との相互関係を生化学的な面から推論し,熊大荒尾助教授の「皮膚癌の臨床病理,特にその組織化学的観察」では熊大7年間90例の皮膚癌についてその臨床統計の報告及び腫瘍の悪性度は核内RNAと平行するがPAS陽性物質は反比例しフォスフォリラーゼ反応は炎症性〜腫瘍性増殖では増加すること,アクリジンオレンジ螢光は病巣辺縁部に強くDNAの分布の不規則性を物語る等々の組織化学的所見が発表され,山口医大藤田教授は「Reticulose (狭義)の分類と細胞について」で氏の今日迄の研究をもとに,狭義のReticuloseと近縁疾患を一定の規準に従つて分類,整備し,狭義のReticulose (多中心性肉腫型,腫瘍性前肉腫型)を悪性側の肉腫型(単中心性)と良性側の炎症性前肉腫型及び良性腫瘍型〜反応性増殖型の中間に置き,極めて難解なReticuloseの概念を明解に説明し,誠に見ごたえのあるものだつた。
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