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第15回西日本皮膚科泌尿器科連合地方会は好天に恵まれ昭和38年11月9,10の両日甲斐博士を会長に宮崎県立病院の講堂で開催された。会長を始め宮崎地方会の会員の努力により,会場も清潔な感じがただよい,学会進行も良く快適な学会であつた。甲斐博士以下地方会の会員の方々に厚く感謝する次第である。泌尿器科関係は第1日目に開かれ,特別講演3題,一般演題66題(中紙上発表38題)の発表があつた。
特別講演 最初に長大宮崎助教授の排尿障害の臨床的研究に始まつた。氏は従来より取り組まれていた脊損患者を対称に,負荷膀胱機能検査法,尿失禁の治療,尿道抵抗,他覚的所見の少ない排尿困難,排尿困難の上部尿路に及ぼす影響の5項日に分け述べ,個々の症例につき検索を加えるならば脊損患者の排尿障害も治療が可能であることを強調された。これはわれわれが経験する神経因性膀胱の診断治療上非常に参考になるものであつた。第2は久大江藤助教授の泌尿器科領域における動脈撮影についての発表であつた。腎動脈撮影は最近泌尿器領域では屡々用いられる検査法の1つであるが,氏はカテーテル法を用い腎疾患における腎動脈の分技状態ならびにいわゆるNephrogramと腎機能検査,剔出腎との相互関係を追求,Nephrog—ramの出現時間の延長と腎皮質機能の低下に平行関係のあることを指摘された。これはわれわれが両側の腎手術に際し第一次手術後の手術腎の機能恢復の状態を知る一つの手段とし腎動脈撮影法を用いる考えと一致している。第3は鹿大阿世知助教授のリンパ系造影法の経験と題するものであつた。後述の一般演題でも数例発表があつた如くリソパ管造影法は最近診断的価値が高まつて来たものであるが,氏は鹿児島の地方病ともいえる乳び尿症に同法を用い,その発生原因としてリンパ系の流れの不調和が重要な因子であることを強調された。更に性器腫瘍の転移の有無決定に対する同法の有用性にふれられたが,一方,同法の応用による頸部リソパ節えの腫瘍の転移経験例をあげその危険性を警告された。
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