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思いつくまま(15)
志田 圭三
Keizo SHIDA
pp.989
発行日 1961年11月1日
Published Date 1961/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203180
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- 文献概要
群馬大学泌尿器科増設にともない,8月から前橋に着任,新しい教室の建設につとめている。東大6年,医科歯科大学10年の経験を生かし,新しい泌尿器科教室をつくり度いと考えているが,現在開設早々で,教室員も少く,教授兼小使の状態である。教室の業績,また泌尿器科学を発展させるためには,かなり多数の教室員が必要である。しかしながら,2,3の大学を除き,どの泌尿器科教室も人員が充分でない事は残念な事である。泌尿器科学の重要性が一般に認識されていない事が大きな原因と考えられるが,また,反面,泌尿器科専門医として開業する事の困難な現在の医療体系が大きな妨げとなつている事も考えられる。今後,一般人ばかりでなく,医師全般へのPRが大切と思う。
教室の研究テーマとしては,男性ホルモンの生理並に代謝を取りあげてゆく予定である。泌尿器科領域に於て最もたちおくれた部門の一つとしては睾丸の病態生理があり,数年前から,この方面の仕事に専念してきたが,現在全く五里霧中の状態で困惑している。婦人科領域のホルモン研究と異り,男子性機能障害の問題ははつきりとした手がかりがなく仕事をすすめる上にも難渋のようである。臨床研究の基盤をなす基礎的研究が,男子の場合には非常に不足している事が痛感される。
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