紹介
リンパ肉腫の治療,他
pp.661
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203103
- 有料閲覧
- 文献概要
ニュー・ヨークのMemorial Center for Cancer andAllied Diseasesから1269名の本症治療成績が発表された。ここにいうリンパ肉腫とはgiant-cell lymphosar-coma, reticulum-cell sarcomaおよびsmall-cell ly-mphosarcomaである。白血病とホジキン病は除外してある。97名のリンパ肉腫患者は,始め白血病を示さなかつたが,のちこれを生ずるに至つた。1269例の年齢は22カ月から92歳まで,男女比は1.7対1であつた。用いた療法は,放線線照射,アルキル化剤,抗代謝剤,副腎ステロイド,放射性燐である。治療成績規準は,かかる疾患においては定め難く,腫瘍の肉眼的完全消失1カ月間を完全的とし,肉眼的退縮少くとも1週間を部分的と記載するほかなかつた。結論として生存率は新療法を用いたに拘らず以前の治療法のときより増加していない。生存率からいうと1940年以来登場したいずれの新療法に比しても放射線療法は同様の効果を示した。放射線療法は生存率については外科的療法より勝つている。興味あることは,小児においては一時軽快したように見えても,悪化しだすと成人より速かに死亡する。女子は男子よりすべての年齢においてやや良性である。初診時に限局性であつた患者の生存はより長い。結局,本症治療法として放射線照射は多くの患者にある程度の慰安を与えることができる。
Copyright © 1961, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.