学会印象記
第49回泌尿器科学会印象記
鈴木 三郎
1
1厚生年金病院皮膚科
pp.732-733
発行日 1961年8月1日
Published Date 1961/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203117
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一般演説について,特に興味を感じたものは
先ず腎機能の変化に関連して阻血腎での電子伝達系の観察(大阪警,奈良医大),Urethan誘導体の腎機能保護作用(奈良医大)これに追加した阪大のsuccinic de-hydrogenase,alkaline phosphataseの活性を腎機能検査に併行して行つたもの等)2,3の酵素活性乃至そのCo-factorについての検索である。この傾向の研究は各国で行われ慢然と手近な酵素の活性を測るのみでなく,当然の結末として各種疾患乃至は各臓器の機能の特異的な変化につれて活性値変化の起る酵素の発見乃至検索と云う方向に進むべきである。又この特異性を求める傾向と少し異なるが,京大三平氏より岸本氏等の腎性血尿の臨床研究への追加である。H2O2を造影剤に混じて注入し,気泡存在により,出血部位を推定する方法は各種臓器にまんべなく分布するカタラーゼ活性に注目した点が興味深い。その他では,熊大の正常腎に於けるGold-blattの腎性高血圧症に於て,medulla抽出液中に昇圧抑制物質を見出した家兎実験報告があつたが,これも類似した報告は諸外国の文献にもあり,更に追求を進めて,抑制物質の精製同定まで研究の進展が望ましい。
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