Japanese
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泌尿器科領域に於ける新抗菌性ニトロフラン(フラダンチン)の尿路感染症の使用経験
THERAPEUTIC EXPERIENCES WITH A NEW ANTIBIOTIC, FURADANTIN, FOR URINATY TRACT INFECTIONS IN UROLOGICAL PRACTICE
佐藤 憲二郎
1
,
林 紅海
1
,
川端 讃
1
Kenjiro SATO
1
,
Chanhai LIN
1
,
Tatae KAWABATA
1
1東京医科大学泌尿器科教室
1Deparment of Urology, Tokyo Medical College
pp.242-246
発行日 1961年3月1日
Published Date 1961/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203016
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I.緒言
泌尿器科領域の疾患には細菌感染症が多い。また術後の感染は尿流との関連もあつて,その手術の経過を大きく左右する。近来は所謂化学療法,抗生物質療法の登場により困難であつた種々な手術を比較的容易に行われる様になつた。即ちこれらの薬剤は確かに泌尿器科学の前進に大きく寄与したものと云つて過言ではないと信ずる。しかしこれらの化学療法剤に対し最近になつて頑強に抵抗する所謂耐性菌の発生を見るに至つた事は蓋し止むを得ない事ではあるが誠に遺憾なことである。即ち抗生物質感受性試験の結果が0の例が多くなり,治療法に困惑し,往時の治療法に逆転し,徒らに時日の経過をする様な場合も少くはない。勿論これら耐性菌を出現させた既往の治療法が,大きな問題ともなるが,化学療法剤が益々普及するに伴つて,患者自身も医師も安易にこれを使用される傾向がある。化学療法剤の作用機序の未だ十分に解明されていない今日,これら耐性菌の出現は治療上の大きな障害となつている。
この時に当り,特に尿路に作用すると云われる化学療法剤ニトロフラン系薬剤フラダンチンの提供を山之内製薬から受け,これを尿路感染症に使用する機会を得たのでここに報告する。
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