Japanese
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薬剤の臨床
産婦人科領域における尿路感染症に対するニトロフラントインの使用成績
Experience with Nitrofrantoin in infections of urinary tracts in obstetrics and gynecology
吉田 武彦
1
,
手塚 一郎
1
Takehiko Yoshida
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.921-926
発行日 1961年11月10日
Published Date 1961/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202521
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Ⅰ.緒言
産婦人科領域における尿路感染症としては,頻尿や排尿痛を主訴とし外来を訪れる急性膀胱炎,あるいは腎盂膀胱炎の患者は比較的に少ない(当教室一般外来患者の0.8%)。一方入院患者で,妊娠,産褥,及び一般婦人科疾患の術後に併発する膀胱炎等と条件をことにするものとして特に治療上問題となるのは子宮癌手術後及び放射線療法,とくにラジウム局所療法の際に必然的に行われる持続留置カテーテル,及び頻回の導尿操作に起因すると考えられる膀胱炎,腎盂膀胱炎の発症した場合である。殊に子宮癌術後尿路感染症は,その誘因として手術侵襲によるための神経系の障碍により,術後比較的長期に亘つての膀胱麻痺による頑固な排尿障碍のため,尿の貯溜残留は避けられないことであり,婦人の局所解剖学的関係から外尿道口の部位は細菌の侵入が起り易く,さらに手術による膀胱の変形や尿管の狭窄等は細菌の上向性感染を促す誘因となり得ることが考えられる。又術後の一定期間は持続留置カテーテルを挿入し,更に自然排尿開始後の残尿が少くなるまでは導尿を繰り返えす必要に迫られているのが現況であり,これらの諸因子が,術後の尿路感染症を必然的に多発させるのは当然で,此の様な感染は逆に排尿機能の回復に悪影響を与えることはいうまでもない。
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