Japanese
English
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長野県における土壌皮膚炎
GROUND ITCH IN NAGANO PREFECTURE
永原 貞郎
1
,
上島 博
1
sadao NAGAHARA
1
,
hiroshi KAMISHIMA
1
1信州大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, Faculty of Medicine Shinshu University
pp.51-53
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202974
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I.緒言
日本における水田皮膚炎の原因は,線虫類仔虫や大鶴教授6)の指摘せられたアブ幼虫等の他に,日本住血吸虫や椋鳥住血吸虫その他の鳥類住血吸虫のセルカリア等が重要なものである(永原4))。長野県における水田皮膚炎においても,著者達の一人上島1)2)3)の研究によつて,椋鳥住血吸虫セルカリア皮膚炎が広汎に分布していること,及びこの皮膚炎が農民職業病として重要な意義をもつていること等が明らかとなつた。
しかし長野県上水内郡信濃町においては,昔から「泥かぶれ」と呼ばれる水田皮膚炎が発生し,その発疹はとくに顔面・下腿腓腹部等の泥が附着する部位に認められるのを特徴としていた5)。上島1)の臨床的研究によれば,信濃町における水田皮膚炎の発疹は,半米粒大〜針先大の小発疹が約23%を占め,椋鳥住血吸虫セルカリア皮膚炎のそれとは趣きを異にしているので,土壌の成分にもとづく皮膚炎の存在が考慮せられるようになつた。
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