Japanese
English
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水疱性伝染性膿痂疹—某病院新産児室に於いて哺育中に発症した2例
IMPETIGO CONTAGIOSA BULLOSA:Report of Two Cases of the Newborn Noted as Hospital Infection Cases
黒沢 誠一郎
1
,
佐藤 孝至
1
Seiichiro KUROSAWA
1
,
Koshi SATO
1
1岩手医科大学皮膚科泌尿器科教室
1Departrnent of Dermatology and Urology, Iwate Medical College
pp.1185-1188
発行日 1959年10月1日
Published Date 1959/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202673
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水疱性伝染性膿痂疹は幼少児に於いて夏期に好発する疾患の一であり,新産児に発症した時には寧ろリツター氏新産児剥脱性皮膚炎の症状を呈する事が知られている。而してその病原菌としては,白色ブドウ球菌(土肥)よりは寧ろ黄色ブドウ球菌が重視される傾向にあり(小瀨川1),石渡等2)),更に近年に於いてはⅡ群に属するType71(PhageTypingによる)の黄色ブドウ球菌に特殊病原体即ちImpetigococcusとしての意義が付与されつっある(Parker,Tomlinson,and Williams3)Ballow4))。当教室に於いても,後藤5)は膿痂疹を主とする表在性膿皮症の病原菌がⅡ群の黄色ブドウ球菌なる事を立証し,著者の一人,佐藤はType71の黄色ブドウ球菌について研究して,略々Parker3)4)等の見解に一致する結論に到達しつつある。
然るに自験2例は盛岡地方としては未だ朔冷の気の失せぬ5月中旬に相次いで来院し,新産児なるにも拘らず定型的な水疱性伝染性膿痂疹の症状を呈する事に興味を感じて細菌学的検索を含む諸調査を行つた処,これ等2例の発症には病院感染の寄与せる疑いが濃厚となつた。上気道よりのAntogenousの感染と接触によるExogenousと感染との何れによるものなるか,未だ不明の閾を脱し得ぬ本症の感染経路解明の一助たり得る症例と考えて報告する。
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