Japanese
English
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尿路刺激症状に対するウロピリジン使用経験
CLINICAL EVALUATION OF UROPYRIDIN ON IRRITATIVE SYMPTOMS OF URINARY TRACT
石戸谷 忻一
1
K. ISHITOYA
1
1弘前大学医学部皮膚科泌尿器科教室
1Dermato-Urological Department, Hirosaki University School of Medicine
pp.405-408
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202536
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緒言
泌尿器科領域に於いて,他覚的に特別の所見はないが,尿意促進,排尿痛,尿路不快感等の尿路粘膜刺激症状を訴える患者は決して少くない。又日常の治療或いは検査の目的で挿入する各種ブジー,内視鏡等が尿路粘膜表面を刺激し疼痛,不快感等を与えることはある程度止むを得ない事であつた。然るに最近,斯る症状を緩和させる薬剤としてウロピリジン(エーザイ)の登場をみるに到つた。本剤はアゾ色素の一種で次の如き化学構造式を有する3-フエニールアゾ2・6ジアミノピリジン塩酸塩50mgを含有する糖衣錠であり,内服後1時間以内に尿中に排泄され黄褐色を呈し,2〜3時間後最高濃度に達し,3〜4時間以内に50%以上排泄されるといわれる。此の点に着目し池上1)他は本剤を腎機能検査に応用ぜんとしている。又他のアゾ色素に比して抗菌作用の強いこともAd-air et al2)により報告されている。しかし本剤は上述の如く速かに尿中に排泄され,尿路粘膜に対し麻痺,消炎的に働く点,所謂組織親和性鎮痛作用が最も特色と考えられる。しかも毒性が少く慢性糸毬体腎炎,妊娠腎,重症肝炎,尿毒症以外は極めて容易に使用出来ることも好都合であり,本邦に於いても既にその臨床効果に関する報告3)−9)がかなり見受けられる。私も今回本剤の提供を受け尿路刺激症状を主訴とする患者に試みる機会を得たので,その成績について簡単に報告する。
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