Japanese
English
特集 老人の皮膚泌尿器疾患
老人性泌尿器疾患について—統計を加味して
UROLOGICAL DISEASES IN OLD PATIENTS: WITH STATISTICS
稲田 務
1
,
本郷 美彌
1
Tsutomu INADA
1
,
Haruya HONGO
1
1京都大学医学部泌尿器科
1Dept. of Urology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.1407-1413
発行日 1958年12月20日
Published Date 1958/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202438
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I.緒言
近年に至り欧米にても又本邦にても人間の平均寿命が著しく延長している。米国にては1951年の統計では75歳以上の者が全人口の2.7%を占め,人日構成上の数値では65歳以上の者は1900年には4.1%,1950年には8.2%となつている。英国に於ても同様の傾向を示し,出生時の平均余命(Lifeexpectancy)は1900年に48.8歳であつたものが,1950年には66.3歳と延長し,人口構成については1931年から1951年までに全人口の増加が8%であるのに対して,60歳以上の者の増加は72%の高い値を示している。本邦にても最近50年間に出生時の平均余命が約20年,60歳のそれは3〜4年それぞれ延長している。これは生活条件の向上と医学の進歩によるものである。その結果として老人の絶対数が増している。そこで寿命を更に延ばそうとする工夫と老人の病気を癒そうとする企てが行われる。そのためには老人科学Gerontology及び老人病学Geriatricsの研究が必要になつてくる。わが泌尿器科領域に於ても従来から老人性疾患に就ての研究が全く無いわけではなかつたが,斯学の進歩と共に新しい観点から改めて見直されねばならぬ。
我々は最近10年間の当教室に於ける症例を主にして観察しようと思う。
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